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manie's blog

@cz500c

ヒューリスティクスとプロスペクト理論

放送大学 授業科目案内 錯覚の科学('14) 水曜午前10時30分

 

ヒューリスティクス - Wikipedia

必ず正しい答えを導けるわけではないが、ある程度のレベルで正解に近い解を得ることができる方法である。

プロスペクト理論 - Wikipedia

「価値の大きさは金額に比例しない。金額が2倍になると、価値は2倍にはならず、2倍弱(1.6倍ぐらい)になる」
「価値の大きさは金額に比例しない」というモデル

 

どちらも、不確実な状況で何を信じやすいかを述べた仕組みのこと。

 

ほとんどの場合はうまくいく。想像できる味の料理を作ろうとしたほうが美味しい料理になる。たぶんうまい、よりも醤油・みりん・酒をベースに砂糖を入れた鍋の方が結果的にうまい。経験で覚えた目分量を基準に調味料を決めると上手にできる。利用可能性・代表性・係留と調整は「たぶんこれでいい方法(ヒューリスティクス)」と判断するために重要だ。

最初は薄味で作っておき、食べてみて足りなければ醤油や塩を加えていく方法も手堅い。出来るだけ失敗しないように考えるプロスペクト理論は日常でいくらでも見つかる。

 

ところがトレードの世界では逆手に取られることが多い。

 

 

利用可能性は日々のトレード内容を少しずつゆがめていく。私も含めてほとんどのトレーダーは「株価が上がる」方を想像しやすくなっているはずだ。上がるか下がるかのどちらに賭けるかを決めるとき、「想像しやすいほうを信じやすい」ことで買いに傾いてしまう。ブレイクしそうだから買い、押し目だから買い、トレンド転換だから買い、などなど。あらゆるタイミングで買うことを考えてしまう。

投資であっても、決算が良ければ買い、決算が良くて材料出尽くしで売られても結局は株価が戻るから買い、決算が悪くても来期期待で買い、などなどである。

買いから売りへ転じるのはどうなった時か、決めているだろうか、守れそうだろうか。

 

代表性は、人間はこまかいうんちくに弱いということだ。

 

アナリストは「明日は上がる」と言わない。

「前日のダウ上昇を受けて日経も上昇基調と考えられます。外部要因としてドル円・ユーロ円ともに株価の押し上げに寄与する可能性が高く、先高観による買いも入ると予想されます。好決算銘柄を中心に幅広い買い需要による株価押し上げと見てよいでしょう。」

「明日下がる」とも言わない。

「米雇用統計の上振れからFRB早期利上げ懸念によりダウの上値が重くなり、ナスダックのハイテク株などに売りが強まりました。明日の日経は決算などのイベントも一段落して活発な売買を控えた利益確定売りが強まると予想されます。」

なのに長々と話すアナリストになんとなく納得させられてしまう。実際には「分からないと言えない」だけなのだ。悲しい職業である。

テクニカル分析をこまかくすればするほど正確性が増すと考えるのも同じ仕組みである。月足・週足・日足・5分足が上昇トレンドでも、下がる時は下がる。

 

係留(アンカリング)と調整は、根拠なく直前に目にしたものを基準にすることだ。

 

しかも基準にしていることに気づかずに行動してしまう。損切りしたら上がった。ならまた買えばいいじゃないか。底値で空売りしたら踏まれた。なら損切りしてまた売ればいいじゃないか。自分が損切りしたり含み損を抱えたことがマーケット全体に与える影響はほとんどゼロだ。だが「自分の買値と売値」を重要だと思ってしまう。何の根拠もない基準で売買をすれば、資産は上下に激しく変動し、ゼロになる確率が高くなる。

中古ゲーム屋でアルバイトをしていた時、新品のゲームのパッケージを破って中古として販売することがあった。新品より10円安い価格で中古品としてとなりに陳列するのだ。すると売れ行きの悪かった新品のゲームがどんどん売れだす。「あっ安い」と思って客は買っていく。週末にぷよぷよを並べるとカップルが買うことが多い。狙われているのだ。

 

プロスペクト理論はいろいろな面でトレードの邪魔をする。

 

お金を減らす方がきついと感じるのであるから「損をするのがいやだから損切りが早くなって、利食いはゆっくりになるはず」である。ところがそうはならない。

損切りは「儲かるチャンスを手放すこと」と考えるからである。上がると信じているのだからいつまでも株を手放したくないのだ。上げ相場だからと利用可能性ヒューリスティクスが機能し、アナリストの上がる理論を代表性ヒューリスティクスで信じ、理論株価だのPERだのをアンカリングに使って株を買ったからである。

利食いは「予定通り上がった株価の最高値」がアンカリングとなる。すこしでも下がると「含み益を失う恐怖」が「含み益が増える期待」を上回る。プロスペクト理論通りである。

含み損がなくなりそうになったところで売ってしまう「やれやれ売り」は、苦しい含み損時期に再び追い込まれる恐怖による。プロスペクト理論とアンカリングと利用可能性が同時に発生する。失う怖さと根拠のない基準と想像しやすさである。

 

株は、結果が出るまで持ち続けるならば「上がるか・下がるか」だけである。日経平均先物とオプション手口が為替と債権によるグローバルマネーで動いた裏で裁定売買が行われてGPIFと日銀の買いがどうのこうのでなんやかんやなどと考える必要はないのだ。上がるなら買えばいい。下がるなら売ればいい。説明も理論もいらない。ただし破産すると参加できなくなる。

 

根拠をもって仕掛ける。ダメなら切る。勝てる方法を試し、ダメなら変える。

 

いまんとこダメですけど。

 

お金ください。

錯覚の科学 (放送大学教材)