おっ、これ来るかも?チェックしとこ
ずっと見てるのに全然あがらねー吹かねー
いつの間にか上がってる…見てなかった
日常ですが、理由があるなら解明して対策したい。
元ネタ 放送大学 授業科目案内 錯覚の科学('14) #11 錯覚の光と影 エンタテイメントと悪質商法
キーワード チェンジブラインドネス、注意、復帰抑制、共同注意、ミスディレクション、フォース
講義は手品の話題で始まります。人間は目で見えている範囲をすべて把握しているのではなく、一部だけを注目しています。注目していない範囲で何か起きていても「見えているはずなのに見逃してしまう」ことになります。
学術的な云々はこの辺りです。注意 - Wikipedia
手品師は注目場所の誘導を行います。注意が誘導で動かされる2つの理由を確かめる実験が紹介されました。
被験者は左右2つの枠がある画面を見ます。どちらかに画像が表示されるので、できるだけ早くボタンを押します。左右はランダムです。
途中で注意をそらす試みが行われます。
画像が出る直前に一瞬だけ枠が光ります。どらちらの枠が光るかはランダムです。
画像が出る前に画面中央に矢印が表示され、しばらくすると画像が出ます。矢印の向きはランダムです。
この実験を行うと「光った枠に画像が出る場合は反応が早い」「矢印の示す先の枠に画像が出ると反応が早い」ことと「逆の枠」では通常よりも反応が遅れることが分かりました。
人間は注目するとすばやく反応できますが、「意識とは無関係に」注意が動いてしまいます。望もうが望むまいが注目が移動します。注目が移動することで反応が遅れたり気づかなかったりもしてしまいます。
講義は次に手品師が行うミスディレクションを挙げます。
手品師がステージ上で観客から腕時計をすり盗る映像が紹介されました。観客は最初に手を握られ、肩の上のコインに気づきません。肩のコインに注目すると、つかまれた手首から腕時計をすられてしまいます。
私は「枠が光る」時の機能は魚になる前から持っていたと思います。急に何かが迫ってきたときにすばやく対応できるほうが、自然淘汰に勝てるからです。
「矢印が出た」時の機能は人間だけが持っているように思います。視覚情報を記号化して分類し、意味を推論するのは人間だけが行っているように思えます。
講義は間違い探しの錯覚に進みます。チェンジブラインドネスです。
少しだけ違う2枚の画像を続けて見ると、人間はほぼ瞬時に間違いを指摘します。むしろ間違いを確認する時の方法と言えます。ところが間に一瞬だけ灰色の画像を割り込ませると、間違いに気づきません。一瞬の灰色の画面だけで違いを見つけられなくなります。また逆に「チェンジブラインドネスブラインドネス」の例も出ていました。じわじわとゆっくり画像が変化していくと、やはり間違いを見逃してしまうのです。
答えを聞いてから改めて見てみるとすぐに見つかるものが「注意がそれている状態」だとまったく見つかりません。見つける能力が低いのではなく、注意を自動的にそらす能力が高いのです。
講義の最後には、番組の前半と後半では講師とアシスタントの上着と背景の絵画を差し替えたことが明かされました。絵画は分かったけど服装は見逃してしまいました。
トレードの話。
人間は注意して見ようとすることもできるし、気づかないうちに注意をそらされてしまうこともあります。そのことで自ら見えない領域を作っているし、見るつもりがないのに見てしまうこともあります。そういう機能を持っていて、抗えません。
光る枠に当たる代表例はローソク足の形の変化です。5分のローソク足がほとんど形を確定させるのは4分45秒ぐらいです。最後の15秒は5分のローソク足ひとつにとっては誤差のような変化しかありません。残り1分がどのぐらい影響を与えるか、残り3分ならどうなのか、最初の1分でできる形と最終形はどのぐらい似ているのか。トレーダーなら日々ローソク足を見ているので経験的に知っています。1秒ごとにローソク足が変化していき、時間の経過とローソク足の完成度は比例しています。
典型的なローソク足の形成過程。
ところが時々「びくっ」とローソク足の形が変わる時があります。これは間違いなく「光る枠」です。「おっ」と思ってチャートを注目します。私の場合は「上がった!買わなきゃ!」と思うことが多くて「上がった!売らなきゃ!」とは思いません。注目が傾いている証拠です。
「ぴくっ」の例。
光る枠は人によって違うはずです。何が光った時に負けるのかを研究すべきだと思います。
「矢印」に当たる代表例は「テクニカル指標の売買サイン」でしょう。サイン通りに売買するはずが、気持ちや行動が傾いていることが多いです。
買う売るの前に、少し時間を戻します。
そもそも仕掛けようとした銘柄を狙い始めた理由は何なのでしょうか?
銘柄選びにも「光る枠」と「矢印」があるはずです。急騰や急落、好決算や好材料、ランキングに入る、ニュースやツイッターで見た、などなど。あるいはチャートパターン。ダブルボトム・カップウィズハンドル・ソーサー・フラッグ、などなど。私は急騰とフラッグに特に惹かれます。どうしても株価が傾いたように見えます。
トレードにおけるチェンジブラインドネスはあるのでしょうか?
有名トレーダーのトレードルームのたくさんのモニタが答えだと思います。多すぎる銘柄を画面を切り替えながら追いかけることはチェンジブラインドネスの発生原因になりえます。私はときどき、スイングトレードの合間にデイトレードをすることがあります。しかし「画面を切り替えたらすでに急騰した後だった」ことがほとんどです。びびって躊躇したわけでもないのに見逃すことがすごく多いです。後から注意深く見ると、出来高の集中や節目ブレイクがすぐに見つかるのです。切り替えたらすぐにチャートを確認する訓練をしていましたが、意味がなかったのです。チャートは出しっぱなしにしておかなければ、いろんなものを見落とすのです。
トレードにおけるチェンジブラインドネスブラインドネスはあるのでしょうか?
じわじわ変わっていくときは分からないのに、後から見たらはっきりと変化を感じるとは。「変わっていく」を上がっていく・下がっていくに入れ替えればたくさんの銘柄が見つかるはずです。
人間は思ったより注意を制御できていません。ではどうすればいいのか。
注意しなければいいのです。注目しなければいいのです。ではどうやって銘柄を選び仕掛けを決断し買って売りつけて監視銘柄から外せばいいのか?
ルール・基準を決めればいいのです。私のルールは公開しています。
私の銘柄選びはそこそこルール化できています。
売買ルールもそこそこルール化できています。
ルールに従って銘柄を選び、仕掛け、手じまう。そうすれば錯覚による行動は起こりません。
ここで大きな問題にぶつかります。ルールが守れないんですよねぇ……。