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@cz500c

空売り比率の謎を追え!!!

調べました。空売り比率は特に意味なかったです。終わり。

 

左の画像が日経平均株価の前日比と空売り比率との関係です。右の画像が翌日の日経騰落との関係です。左の画像は傾いていますので相関があります。右は水平。明日の予測には使えないです。以上。

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元データはこちら。Excel2007以上で。

Yahoo!ボックス - 大切な思い出をずっと大事にお預かりします

 

しかし重要な示唆も得られたので調査自体は無意味ではありませんでした。

 

空売り比率が高いと買い?売り?

私が空売り比率に興味を持ったのは株価を報じる一部のニュースでした。

Google ニュース検索「空売り比率 過去最高」

空売り比率 過去最高 - Google 検索

 

空売り比率と日経平均株価は強く関係していることを前提に報道しています。

 

空売り比率が高いから失望している人が多いと報じるニュース

東証空売り比率過去最高、アベノミクス失望背景-ETF流出 - Bloomberg

東証の空売り比率最高に、18日時点-リスクヘッジ需要の見方 - Bloomberg

 

空売り比率が高い日の翌日なので買戻しにより株価が上がったと報じるニュース

日経平均は反発、買い戻し主体 連日の人民元安で一時乱高下 | Reuters

 

なんだかニュースで取り上げるってことは重要な数字かもしれない!

 

そもそも空売り比率って?

ロイターのニュースで「12日の東証空売り比率が39.2%と過去最高だったこともあり」とありました。では東証のサイトを見てみましょう。

 

東京証券取引所 空売り集計

空売り集計 | 日本取引所グループ

 

過去1年分の空売り比率を確認できます。8月12日のpdfを見てみると……。

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39.2%というのは31.3%と7.9%を足した数字みたいですね。では何が100%で何が39.2%なのか。

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東京証券取引所のすべての売買が100%です。東証1部と2部だけでなく、JASDAQも入っているみたいです。月次集計のpdfに注意書きとして記入されていました。

(でもなんだか東証の日報とぴったり合わないんですよね……情報求む)

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売買全体の中で空売りがどのぐらいかを表す比率なのだから、絵で描くとこうなるはずです。

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空売り比率は「買いと売りの比率」ではなくて「売りと売りの比率」ですね。そもそも買いと売りは同じ株数なのだから当たり前なんですけど。

 

よし、空売り比率がどういう数字なのかは分かったぞ!

 

空売り比率が高い=現物売り比率が低い

現物売りと空売りは何が違うのでしょうか?

 

ニュースタイトルになっている「東証空売り比率過去最高、アベノミクス失望背景-ETF流出」を素直に読めば「空売りする人が多いほど失望度は高い」となります。確かに空売りは株価下落で利益が得られるわけで、これから株価が下がるだろうと考えて空売りしていると思うのは自然です。でもそうなると「現物売りの比率が低い」ことが説明できません。これから株価が下落するだろうと考えるなら、現物株の長期保有を今すぐ中断して現物売りをするべきです。制度信用の空売りは6か月以内に買い戻さねばなりませんが、現物株を売った後に買いなおす必要はないからです。1年も2年も下落が続くと思うなら、空売りではなく現物売りをすべきです。

 

要するに売りは売りです。空売りだろうが現物売りだろうが下落すると利益が出る行為をしていることに変わりはありません。現物売りが少ないことは株価の先高感を示していると言うこともできるはずです。うーん、実際はどうなんでしょうか。

 

とりあえずデータを取ってみましょう。

 

空売り比率を手に入れる方法(手作業!)

pdfを一個一個開いて数字を全部拾ってみました。手作業です。1年分なので高々300回コピペするだけのことですから、はぐれメタルを狩ることに比べたら楽なものです。あいつは逃げますけど、コピペは逃げませんからね……。

chrome空売り集計のページを開き、該当月を表示して、pdfファイルをひとつずつCtrl-クリック、Ctrl-クリック、Ctrl-クリック……最初のpdfのタブを開いてマウスで1行ドラッグして反転してCtrl-Cでコピー、Alt-TABでメモ帳に切り替え、Ctrl-Vで貼り付け、Alt-TABでchromeに切り替え、Ctrl-TABでタブを切り替え、マウスで1行ドラッグして反転してCtrl-Cでコピー……。タブを閉じて次の月を表示して……。みたいな感じでやりました。

 

1か月分のコピペに5分ぐらい。1年分をメモ帳にコピペするのに2時間ぐらいかかりました。コピペで空白文字が妙なことになって修正する方に時間がかかってしまいました……。

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これをLibre Office Calc(お金持ちはExcelを使いましょう)に空白区切りで取り込んでみます。あとで日付で連結したいのでちょっと加工したり。

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日経平均株価もHYPER SBIから取得したCSV経由で取り込んでおきます。

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よし、準備はオーケー。

 

とりあえず空売り比率と日経平均株価を並べてみる

並べ方は割愛。結果だけ。

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3か月に1回ずつ凹んでるところがありました。メジャーSQの裁定解消の日なんじゃないかな。裁定売買は価格制限ありの空売りが関係しているみたいです。黒田バズーカ2の日だけ空売り比率がポーンと上がっているのも興味深いです。

「株価の底値」を見つけてから空売り比率を見ると「空売り比率のピーク」の場所のように見えます。しかし、「空売り比率のピーク」を見つけてから株価を見ると、必ずしも株価の底値ではありません。これはもしかして必要条件と十分条件の関係のような……。

 

今日の空売り比率と明日の日経平均株価の関係は?

空売り比率が??%以上だと明日の日経平均株価は上がることが多い、なんて分かったらすばらしいわけです。そこで表計算ソフトの機能を使って並べてみます。日経平均株価の前日比と翌日の騰落のどちらかに空売り比率は関係があるのか?

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並べ方は割愛。結果だけ。

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というわけで……。

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ハイ、結論でたー……。ひとことで言うならば

空売り比率は今日の事実

ということになります。明日の予想には使えない。

 

終値終値じゃなくて終値始値で比べたら?

高値と安値の値幅に関係あるのでは?

などなどありますが、その辺りは各自で調べるのも興味深いかと。

 

空売り比率は日経平均株価の前日比がマイナスの時に大きくなる傾向があります。参加者の心理としては「なんだか今日は下げてるし、空売りしとこうかな?」と思って行動していることが分かります。

ところが、です。近似曲線を二次の多項式にするともうひとつの傾向が見えます。

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日経平均株価の前日比が+200円を超えたあたりから「空売り比率が高い傾向」が出てきます。参加者の心理としては「さすがに上げすぎたから明日は下がるだろう。でも現物売りする必要はないかな」と思って行動していると考えられます。ド短期の逆張りです。特に黒田バズーカ2の日の空売り比率は高くなっていました。完全に裏目だったわけですが……。

別の見方としては「前日比が大きくマイナス・大きくプラスの場合に空売り比率が高くなる」とも言えます。日経平均株価が大きく動くほど「投機的な行動が増える」と考えらえられます。数字はありませんが、信用買いの比率も高まっているのではないでしょうか?

 

空売り比率が上昇すると株価の底打ちなんじゃないの?

黒田バズーカ2の日は空売り比率が36.7%でした。ですが2015年8月現在の空売り比率は連日35%から39%です。数字自体ではなく、前日からの変化が大事なのかもしれません。並べてみましょう。

結果。

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やっぱり「今日の説明にはなるけど明日は予想できない」ようです。うーん……。

 

空売り比率が過去最高水準なのはどうしてなの?

分かりません。分かりませんが私なりに2つの事実から仮説を立てました。

  • 売買代金が増えている
  • 空売り比率が増えている

売買代金は日経平均株価が上昇していくにつれて少しずつ増えています。日々の騰落幅が大きいほど増える傾向がありますが、長期的には日経平均株価自体の大きさの影響があります。

ということは「現物売りの売買代金」はあまり増えていないということです。現物株を売ったり買ったりする活動よりも、信用買いや空売りの売買の方が増え方が速いということです。売買が長期的視野の活動から短期の投機的活動に傾いているのではないでしょうか?

空売り比率が??%になったら危険だ!」と断定する方法はありません。どこまで上がるんでしょうか……。

 

結論としては、空売り比率自体にはあまり意味がないみたいです。

 

空売りを分析することは無意味なの?

むしろ積極的に分析するべきだと思います。空売りといえばこのサイトが便利です。

空売り残高を検索 karauri.net

karauri.net - 空売り残高情報を検索

 

空売り機関数ランキングでいじっている機関の数の少ない銘柄を選んで

空売り機関数ランキング

空売り時価総額ランキングで売買の活発な銘柄に絞り込んで

空売り時価総額ランキング

表を作ります。

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なんだか最近は建設セクタが人気なので五洋建設を見てみます。

1893 五洋建設株式会社の空売り残高情報

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オックスフォード、めちゃめちゃいじってますね……。では空売り残高と五洋建設の株価を並べてみます。黄色が残高で赤が株価です。

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パッと見て分かるのは残高と株価が逆の動きになっている、ということです。

安値で空売り!高値で買戻し!爆損!

そんなバカな売買を続けるわけもないですから、実は随時安値で買いをしていて利益を得ているのは間違いないでしょう。そういう目で細かく見てみると……。

 

最高値ブレイク局面で機関投資家空売りを返済買いしてくる

直近高値をブレイクするところに青い線を引きました。

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ブレイク局面で、空売りを返済買いしています。直近高値は多くの人が意識するポイントで「そろそろ限界かな?」と思うところです。そこで機関投資家は大きな買いを入れて最高値を更新してきます。買いの一部には空売りの返済買いがあるのです。

空売りだけを見ると底値売りの高値買戻しに見えますが、実際には重要局面でもうひと押しするための実弾として空売りを仕込んでいたのです。

 

機関投資家が高値で空売りを始めたらチャンス?

チャンスかもしれないし、下落のサインかもしれません。しかし「これから大きく値動きする」ということは間違いないでしょう。機関投資家によって空売りの使い方は違うようです。モルガンスタンレーやゴールドマンサックスは売りで釣り上げてくるし、ドイツ銀行空売り単体で利益をだしているように見えます。いろいろ見ていると面白いです。karauri.netさんには頭が上がりません。

 

日々勉強。

 

追記。続編できました。

manie.hatenablog.com