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manie's blog

@cz500c

移動平均線に命令されて売買していませんか?

東京電力の日次終値と25日移動平均線のグラフ。(ちょっと古いです)

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移動平均線を見て売買すると儲かる?

上向きなら上昇トレンド?乖離率が大きいなら逆張り移動平均線と株価が重なるところが売買タイミング?短期線と長期線が重なると重要ポイント?

で、儲かったの?それ知ってると。

儲かりませんでした。おかしいなぁ。なんでかなぁ。

 

どうして儲かると思ったの?

あれ?答えられません。考えてみようじゃないか。

 

 

移動平均線の作り方 

私は25日移動平均線をいつも見ています。

数式で書くとこんな感じ。移動平均Maは株価PとΣと分数で表せます。

 { \displaystyle Ma_{i} = \frac{1}{25}\sum_{k=i}^{i-24} P_i }

絵で描くとこんな感じ。

まず平均から。日々の株価は左の図の赤い短冊の長さです。赤い短冊を25本並べてできた面積と同じになるように、黄色い紙で大きな長方形を作ります(右の図)。黄色い長方形を25本に切り分けると、黄色い短冊が平均です。 

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平均と移動平均の違いは、古い短冊を1本捨てて新しい短冊を追加しながら、平均を計算することです。

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「25日移動平均線との乖離率が……」とか難しそうに言う専門家がいますが、移動平均線との乖離率を数式で書くとただの分数です。

 { \displaystyle \frac{P_i - Ma_{i}}{ P_i }} または  { \displaystyle 1-\frac{ Ma_{i}}{ P_i }}

 赤と黄色の短冊のズレと、赤い短冊の長さ全体を比べたものです。

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 移動平均線の迷信

移動平均線と株価が重なるポイントは、赤い短冊と黄色い短冊がちょうど同じ長さになったときです。株価で短冊を作れば誰でもその時を確認できます。乖離率が20%になったかどうかを調べるには、株価で短冊を作って長さを比べれば分かります。

もうちょっと頭を使えば、「明日の日中にこの価格になると株価と移動平均線が重なるぞ」とか「乖離率が20%を超えるのはこの価格だぞ」と計算することもできます。

移動平均線と株価の関係や株価との乖離率を見て売買すれば儲かるという論法は、株価で短冊を作ってから

短冊を切ったり貼ったりすれば儲かる!

と言っているのと同じです。

儲かるわけないだろ!

当たり前ですね。短冊を作れば儲かるなら画用紙を大量に買うべきです。

 

移動平均線を見て売買するのではなく、売買するために移動平均線を見るべきです。短冊に命令されて売買するのも面白そうですけど。

 

 含み損益を見る視点

 含み損している人がブン投げるタイミングが分かると利益につながる気がします。もう売ってくる人がいないなら、株価は上がるしかないからです。そのためには、どのぐらい含み損になっていてどこまで耐えられるかを知る必要があります。

 

25人のトレーダーを考えます。東京電力の株を別々の日に100株買って25日保持するとします。

最初のトレーダーが現れるのは25日前です。100株を買い、今日の時点では保持して25日目です。ちょっと含み損です。

2人目のトレーダーは24日前に100株を買いました。24日保持しています。ちょっと含み損です。3人目は23日前、4人目は22日前、5人目は21日前に100株を買いました。25人目のトレーダーは1日前(昨日)に100株買っています。

 

100株それぞれのポジションの含み損益を絵にするとこんな感じです。赤が含み益で青が含み損です。25日平均価格が最終日の終値とほぼ同じなので、25人全員の含み損益の合計はほぼゼロになっています。

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話の都合上、25人のトレーダーは保持した株を25日目に売ったらすぐに再び100株を購入し、馬鹿正直に再び25日間保持すると仮定します。変なルールですがもう少し我慢してください。

 

翌日からのトレーダーの確定損益を考えます。 

 

初日、1番のトレーダーは株を売って、再び買いなおします。含み損がある状態なので、たぶん損失を確定するでしょう。改めて買いなおした株は25日後に売るまで保持します。

2日目、2番のトレーダーは株を売ります。含み損は増えているのか減っているのかは分かりませんが、損しているままなんじゃないでしょうか。改めて買いなおした株は25日後に売ります。

7番のトレーダーは25人の中でもっとも含み益が大きいです。7日目に株を売りますが、含み益が確定利益になるだろうと誰もが思うでしょう。7日間であれば含み益がすべて消えてしまうことはなさそうに思えます。

23番のトレーダーは25人の中でもっとも含み損が大きいです。いまのところ苦しい状況ですが、23日目には株価が上昇しているかもしれません。まだ損すると決めつけるには早すぎる状況です。買って2日間でできた含み損が23日間でなくなることは大いに考えられます。

 

私を含めたすべてのトレーダーは1番から25番のそれぞれの状況を体験したことがあるはずです。「買ったら25日間保持する」なんてルールはないわけですからもっと早く・遅く手じまいすることができます。含み損している人がブン投げるタイミングを知りたいわけですから、手仕舞いを早めたり遅らせたりする理由を考えることが重要に思えてきます。25人のトレーダーは何を考えるでしょうか?

 

含み損益とトレーダーの心理

トレーダーの状況は大きく分けると4つに分類できます。

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4種類のトレーダーに幸福・期待・絶望・疑心と名付けるなら、それぞれの領域のトレーダーはどの名前にすべきでしょうか。

私が株取引を始めたころの印象を示します。

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 名付けパターンは24通りありますが、ほとんどの初心者(底値でブン投げて早期に退場するカモのトレーダー)はこのように考えると思います。売買の記録とその経過における気持ちを振り返れば確認することができます。

素人が思わず株を買ってしまうポイント - manie's blog

 

初心者が株を手放すのはどのタイミングでしょうか?矢印で示します。

 

含み益を逃すなパターン

少しずつえていた大事な大事な含み益り始めた!

いまのうちに売れ!

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ヤレヤレ売りパターン

ふくらんでいた含み損ってきた…お願いたすけて…もうちょっともうちょっと……ついに含み益!やった!いまだ!

いまのうちに売れ!

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底値でブン投げパターン

含み益がだんだんってきた…ぁぁぁ…含み損に…どんどんお金減る…うわぁああこれきつい…おっ?ちょっと含み損った…うわっまた下落ぅだめだーっ…おっ?ちょっと含み損った。仕方ない、

いまのうちに売るか……。

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初心者が何をやっているか(私がかつて何をしていたか)が見えてきました。

 

上級者と初心者の違い

株価と含み損益は、上図の4マスの中を8の字を描いて推移していきます。

 

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黄色の矢印は逆行することがありますが、緑の矢印は逆行しません。売買する理由が含み損益によるものだとすると、4つの矢印のどこかで手仕舞いする可能性があります。3つの矢印で売る理由は示しましたが、ひとつだけ初心者が売らない矢印があります。「含み益が減って含み損になる状況」だけは手仕舞いを考えません。

初心者が売ることができない瞬間

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売らなきゃ売らなきゃと思いつつ、売らずに我慢してしまうのです。含み益と含み損はランダムに推移するのに、できるだけ含み損でいる時間を長くするように行動するのが初心者の特徴です。

上級者はここで売ることができます。逆に見ると「ポジションの含み損益だけを根拠に売買を決断する」のはこのポイントだけです。上級者は含み損益の変化で売買を決断しません。

 

初心者は含み損益に命令されて行動する

では改めて25人のトレーダーの含み損益を再確認します。1番のトレーダーは25日保持した状態です。25番のトレーダーは昨日買って今日、という状況です。

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ここでルールを変更します。

いつ売ってもいいよ!

 

25人のトレーダーは日々の含み損益を観察して今日を迎えています。幸福・絶望・期待・疑心のどの状況にいるでしょうか。

 

最も強い絶望状態にあるのは23番のトレーダーです。 ですがすぐに売ることはありません。含み損が少しずつ減ってきて期待が高まったあとで…「含み益になった!売れ!」となるか「含み損がまた増えてきた!ブン投げ!」となるかどちらかの時に売ることになります。

含み益の量で見ると最も幸福なのは7番のトレーダーです。3日前は幸福の絶頂でしたが含み益が減ってきて疑心の状態にあります。ルール変更がなければあと7日待たされたわけですが、「いますぐ売ってもいい」となれば「いまのうちに利益を確保した方がいいのではないか」と考えて手仕舞いしたくなっているはずです。

 

この見方で株価の上下動を見ると、株価が上昇を始めて下降し始め再び上昇が始まるまでの期間が「多くのトレーダーが株を買ってから売るまでの期間の約2倍」となります。急騰と暴落が短期間に起きている銘柄はド短期売買が大半をしめているし、緩やかに上昇して緩やかに下落していく銘柄は長期投資の対象となっている可能性が高いです。上昇期間と下降期間の変化がトレーダーたちの保持期間の変化の表れです。

 

出来高は1番から25番のトレーダーの人数と株数を表します。含み損が一番多い23番のトレーダーが多いとなれば、「うまく23番に売りつけた人がたくさんいる」上に23番のブン投げ発生の確率は高まります。含み益がたっぷりある7番のトレーダーがたくさんいるとなれば、「7番はブン投げを上手に拾ってじっくりと保持期間を伸ばしている」し、その後で買いを入れたトレーダーはしばらく売りがでてこないと安心していることでしょう。

 

移動平均線を見ることで、株価と出来高が参加者の心理に見えてきます。心理通りに株価が動いていれば、各々のトレーダーの保持期間がどのぐらいなのかを推測することができます。5日移動平均線と株価が追いかけっこをしているなら、5日より短い時間で売買しているトレーダーがたくさんいることがわかります。にも関わらず25日移動平均線が上向きなら、保持期間が長めのトレーダーはみんな含み益となるはずです。

 

移動平均線が上向き(下向き)で起きていること

25日移動平均線が上向きで多くのトレーダーの保持期間が25日より短い場合は、含み損のトレーダーの人数がとても少なくなります。そもそもブン投げが発生しにくくなります。過去に高値掴みをした人はずっと前にブン投げしてしまったからです。

そのかわりに過度の期待が発生します。いつもなら期待から絶望に移行してブン投げを行うはずの初心者が、期待が大きすぎるために絶望状態になりません。むしろ含み損を抱えているにもかかわらず期待を持つことになります。

さらに疑心が薄れ、含み益の減少を気にしなくなります。「待っていればどうせ儲かる」と疑いを捨ててしまうので含み益を逃すなパターンも発生しにくくなります。

あわてて売るトレーダーが減るということは、買い方トレーダー全体の保持期間が伸びていくことになります。株価の下落は「いまより安い価格でもいいから売りたい人」の人数が多く、「いまより高い価格でもいいから買いたい人」の人数が少ない時に発生します。移動平均線が上向きの時に株価が下落しにくいのは、多くの買い方トレーダーの保持期間が少しずつ伸びていて、「いまより安い価格で売りたい」と考える必要がなくなっていくからです。

そして保持期間がどんどん伸びていき、いずれピークを迎えます。保持期間の長いトレーダーが去って短い保持期間のトレーダーが参加してくることで株価は乱高下し、天井を形成して下落が始まります。

25日移動平均線が下向きの場合は買い方トレーダーの保持期間が短いはずです。売り方トレーダーの保持期間はどんどん長くなっていきます。「売り方みんなで売る」「買い方みんなでブン投げ」となるまでは、売り方トレーダーの保持期間が長くなり続けます。

何かを探すために移動平均線を見よう

移動平均線の傾きを見れば(保持期間を限定した)トレーダーの期待(恐怖)の大きさを推測できます。上昇と下降の日数を見れば、多くのトレーダーの保持期間を推測できます。出来高を見ればブン投げヤレヤレ逃すなパターンを見つけることができます。

ブン投げが出たら買うぞ!とか、ヤレヤレ売りが弱いなら買うぞ!といった作戦を立てておいてから移動平均線と株価と出来高を見ることで、エントリーの根拠になります。根拠が崩れたかどうかが手じまいするかしないかを決断する理由になります。

 

いまどき「ゴールデンクロスで買うと儲かる」と思っている人はなかなかいないと思いますが、「この状況ならゴールデンクロスを待って買えば儲かるぞ」と分析してからゴールデンクロスを待つのは正しい作戦に思えます。 

 

日々勉強。