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未来を予測したい欲望が生まれてしまう

要約 上がる株を知りたい欲望・勝率だけを追うな・トータルで考える

未来を予測したい欲望が生まれてしまう

初体験の素人は「未来が知りたい」とは思っていません。「上がる」と強く確信して買うからです。ところが苦渋の損切りを経験すると確信が揺らぎます。未来を知りたい気持ちが生まれ、様々な失敗トレードの原因になります。

 

株価が上がれば儲かる・下がれば損する

一度でも下落を経験した素人は株を買う前に綿密な調査をします。素人調査なのでほとんど無意味で内容がなくウソをかき集めているだけなのですが、真剣です。「今度こそ絶対儲けるぞ!」と欲望が高まっているので理屈もたくさんいるからです。

その上で「買った途端に株価下落」なんてことが起きます。我慢の限界まで耐えて損切りです。だいたい3連敗辺りで資金が半分ぐらいになってしまいます。「次こそは!」と真剣に取り組んだ結果の失敗なので「もしかして私の方法は間違っているのでは?」と気づきます。しかしそこは素人、どこを間違えているのか分かりません。

上がる株だけ買えばよかったのに

下がる株も買っちゃったからいけなかったんだ、と間違えてしまいます。実は素人の買い根拠はそれなりに正確で、多くの素人の勝率は50%より高いです。トレンドに素直に買いを入れる(婉曲表現)からです。限界まで我慢してから損切りし、ちょっと儲かると早すぎる利食い、そしてそこそこの勝率。

素人ゆえに「上がる株をより確実に当てられる分析手法」を追い求めることになります。分析の成果が勝率だと思っているし、実際にその通りなので正しい判断です。では何から改善していこうか?と考えざるを得ません。欠点を直し、長所を伸ばすべく、行動を開始します。

チャート分析が間違っているのだろうか?の間違い

むしろ素人の分析は正確です。直近の高値安値との値幅・様々な日数の移動平均線乖離率・ストキャスティクスやRSIの水準・信用残高の偏り・逆日歩の推移、などなどを見て「現状は買いか売りか」を分析できます。ただ、「パソコンかスマホがあれば誰でもできる」ような分析なのですが。分析自体は正確です。間違いではありません。

企業価値の分析が間違っているだろうか?の間違い

投資の割安水準として「PER10倍割れ」「PBR1倍割れ」辺りは有名です。企業の売上高・利益・資産・借入金などから計算したものが多いですね。やはり分析に間違いはありません。誰もが同じ分析をしているはずですが。「同じ業種の他の銘柄より割安だ(割高だ)」なのは正確です。

錬金術を求めて迷信にたどりつく

明日の株価が今日より高いか安いかを確実に当てる方法はありません。どこにもないものを探そうとしても見つかるはずはありません。だから「探したけどなかった」となれば正解です。素人を卒業できます。

ところが素人は「あるはずのものを探している」と信じて疑いません。となると錬金術と同じで「結論ありきのオカルト理論」を構築することになります。いわゆる迷信です。迷信は「現実に起こった事実」を根拠とします。残念ながら、迷信なのか新たな法則を発見したのかをすぐに判断することはできません。

株価のチャートであれば過去にさかのぼって確認することができます。ゴールデンクロスが出たら買えとか、SQ週の水曜日は荒れるとか、せるいんめい?だから5月は売れとか、大納会IPOをショットガンで買って大発会で成り行きで売れとか、迷信なのか儲かる法則なのかは調べてみないと分かりません。もちろん「過去に成立した法則が未来に亘って成り立つ」のは迷信かもしれません。確認が必要でしょう。

迷信にしたがって行動してしまう

素人は迷信が大好きです。大好きですが迷信で買って3連敗すると「迷信だ!騙された!」と新たな迷信に飛びつきます。ベテラントレーダーのカモになっていると気づくのは3年ぐらい経ってからです。

もっと高い勝率が欲しい。いろんな迷信を乗り換えていく。どんな手法も役に立たないと気づく。資産が半分になってしまう。「証券会社は株のプロだからおまかせする」「著名トレーダーのセミナーに通う」「事情通?の情報に大金を払う」と奈落の底へ。まるで詐欺集団にだまされている人のようにお金を吐き出していきます。

どこにも詐欺師はいません。「株を買えば儲かる」と自分にウソを言ったのは自分自身です。

ではどうするのか

勝率を知るには確率を知る必要があります。仮に上昇する確率が50%で下降する確率も50%だとします。損切り利食いを同じ値幅で行うとすると勝率はもちろん50%です。ここまでは誰でも分かります。

損切りをー500円・利食いを+1500円とすると、3回損切り・1回利食いの割合で発生します。勝率25%で負けが75%になります。(二項分布を使った証明は各自でどうぞ。)逆に損切りをー1500円・利食いを+500円とすると勝率75%です。コツコツ利食ってドカンと損切りです。25%と75%は表裏一体です。具体的にどういう確率なのか説明できるようにしておきましょう。

25%の確率を知ろう

25%は「コインを2枚投げて両方表になる確率」です。素人はここで大きな勘違いをします。

4回に1回でしょ?

違います。4000回に1000回です。40回に10回でも、400回に100回でもありません。絵で示します。横一列が100マス、縦に40行あります。4000マスのうち、白が75%・黒が25%です。

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連続する4マスを選んで「4回に1回は黒」となっている場所を探す方が難しいことが分かります。黒が4連続する「256回に1回」の現象が6回、黒が5連続する「1024回に1回」の現象が2回起きています。

白が8連続や10連続しているところも頻繁に見つかります。75%の確率が「4回に1回」は失敗するはずと思っているとひどい目に会います。逆に白が2連続して黒・また2連続して黒もたくさん見つかります。

「25%勝てる」ということは10連敗や2勝20敗が起きたり3連勝して1敗して4連勝したり、いろいろドラマがあって「全体で1000勝3000敗」となることなのです。「75%勝てる」ということは5連勝や10連勝がそこそこ起きるけれども4連敗や5連敗がありえないわけではないし一時的には10勝10敗になることもあるのです。

小さい損切りと大きな利食いを目指す損少利大のトレードは勝率が20±10%ぐらいになります。ということは10連敗や20連敗が「あぁまたか」ぐらいの頻度でやってきます。逆にびっくりするような連勝もあり得ます。

勝率と値幅のバランスの選び方を間違えると「性格的に耐えられない状況」に陥って破産に直結します。高い勝率を選ぶか大きな値幅を選ぶかは重要な課題です。

それでもやはり勝率と値幅のどちらも改善したい

自分の売買ルールがマーケットのトレンドに合致しているかどうかが分かれば、勝率も勝ち値幅も改善することができます。要するに4000マスの白黒の分布がどちらに傾いているかを日々判定すればいいのです。そのためには1つの売買を検証するのではなく、20トレードや100トレードをまとめて分析しなければなりません。

「ブレイクアウト手法」が勝ちに傾いているなら、現時点では上昇相場です。逆張りを狙っても仕掛けるポイントが少ないでしょう。ブレイクしても軒並みがダマシで下落に転じるならトレンドはありません。少し遅らせて買うか逆張りの手法が勝ちに傾いているはずです。そこで改善です。負けに傾いている手法で仕掛ける場合は小さなポジションにします。勝ちに傾いている手法なら減らしたポジションを戻したり少しだけ先回りしたり、複数の銘柄で仕掛けたりします。何度も何度もトレードを繰り返す過程で「買いか売りか」「順張りか逆張りか」「様子見か突撃か」を日々を変化させていくことが大事です。トレーダーはすぐに意見を翻すことで生き残っていけます。

相場観測をしよう

とはいうものの、現状が上昇相場なのかトレンドがないのかを分析できた方が有利です。代表的な指標は押さえておきましょう。

  • 日経平均株価の月足・週足・日足と付随するトレンドライン
  • 騰落レシオ・信用倍率・信用評価損率

横ばいで分かりにくい時や、トレンドが継続するのか終わり始めているのかを見るために他の指標も確認しておくとよいです。

  • 投資主体別売買動向
  • 裁定売買の残高
  • 新高値・新安値(NH・NL)の銘柄数

これらの数値は誰もが見ているしどういう数値だとどういう状況かもみんな知っています。その上で自分の売買スタイルだと有利なのか不利なのかを考えながら賭けていくことになります。基礎的な数値なので読み方を勉強しておいたほうがよいです。

自分のスタイルを作ろう

未来が分からなくても現在は分析できます。いまやるべきことをやり、やるべきでなくなったかを日々確認し、新たな状況には対応していく。そういう繰り返しがベテラントレーダーの能力です。

 

日々勉強。

 

記事まとめ

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