日本国債
日本国債って何?に答えるメモ。記事ではない。だが、公開。
日本国債のメモ
日本 じゃぱん
国 国が
債 借金
つまり、日本国がする借金。誰から?という話は後ほど。
結論。金持ちが金持ちを維持するための仕組み。
では本題。
日本国債という借金は、市民の借金とは根本的に異なる。その違いを理解するために「借金」を整理しよう。
借金とはお金を借りること、あるいは貸すこと。やりとりするお金自体。
まず専門用語だ。これは短く表現するために必要だから覚えよう。
- 元本 がんぽん。最初に借金する金額
- 利息 1年とか1ヶ月したら、元本に加えて返すお金
- 年利 1年毎に元本にどのぐらい利息がつくかを百分率で表したもの
- 月利 年利の毎月版。マイナー
- 日利 この言葉はない。
- 日割り ひわり。総額を365で割って毎日お金を支払うとかで用いる
- 複利 元本と利息を足して、新たな元本とすること。利息に利息がつく
- 単利 元本に利息がつくが、利息には利息がつかない
- 返済 お金を返すこと。通常は一部だけ返す
- 完済 完全に返済。全部返すこと
「借金で100万円借りた。1年後に5万円を加えて105万円を返す。もし返済しないと、2年後に105万円と追加の5万円を加えて110万円返す。」
↓
元本100万円。年利5%。単利。
「借金で100万円借りた。1年後に5万円を加えて105万円を返す。もし返済しないと、2年後に105万円と105万円に利息がついて追加の52500円を加えて110万2500円返す。」
↓
元本100万円。年利5%。複利。
「借金で100万円借りた。1年後に5万円を加えて105万円を返す。もし返済しないと、2年後に105万円と105万円に利息がついて追加の52500円を加えて110万2500円返す。
でも1年かけて毎日返してほしいって言われたので、105万円を365で割った2876円ずつ毎日返す。
2876円はきついので3年かけたいと言ったら、総額115万7625円を1095日で割って毎日1095円返すことになった。
1095円もきついのでもっと安くって言ったら、21年間7665日363円でどう?って言われた!安い。
21年で総額278万5962円を7665日で割って363円。
それなら100年にしてよ!って言ったら総額1億3150万1257円を36500日で3602円ずつ返済ってなった。」
↓
元本100万円。年利5%。複利。
1年完済なら日割り2876円。3年なら日割り1095円。日割りの最安は21年で363円(総額278万円)。100年だと1億3150万1257円で日割り3602円。
(100万円ぐらいのお金でこの返済方法をすることはない。普通は元本が少しずつ減る方法になる。ただしリボルビング払い、お前だけはほぼこの方法だ。滅せよ)
利息と返済期日を借りる側の日本国が決定する
という特徴がある。庶民がつかう借金とは全く違うのだ。国が決める利息と返済期日の理由や根拠は公開されているが、なんだか難しい書き方でよくわからない。だから数字を並べて全体を把握することにしよう。
あと単利。複利じゃないから莫大な額にならない。これ割りと大事。
銀行預金は複利。でも利息が残高に反映されるときに税金取られてる。ふぁっく
リボ払いは複利。少し放置するとすごい勢いで増える。やばい
住宅ローンも複利。元本も少しずつ返済。だいたい3000万が4000万になるぐらい利息がつく。繰越返済が強キャラ。現金一括が最強キャラだが銀行に嫌われる弱点がある。
庶民が利用する借金はだいたい複利。
https://www.mof.go.jp/jgbs/reference/interest_rate/index.htm
公表している金利はどのようなものですか
【答】
流通市場における固定利付国債の実勢価格に基づいて算出した主要年限毎の半年複利金利(半年複利ベースの最終利回り)です。
とある。
実勢価格というのは「日本国債が発行された後」に「日本国債が売買されている」ので実際に買おうと思うと高くなったり安くなったりすることも反映している。要するに
年利(単利)
と読み替えればよい。
では昭和49年の数字をみてみよう。
10.327%
これは100万円が1年で110万円になるということだ。
9年国債だと8.127%だから、9年続けて毎年8万1270円もらえる。総額173万円。ただし元本の100万円は9年間戻ってこない。
9年国債やるより1年国債を9回繰り返したほうがよくね?って誰でも思うよね。実際に銀行はそうしただろうし、めちゃめちゃお金が増えたはずだ。そして銀行は企業にお金を貸して(もちろん国債より高い15%とかの利息である)倍速で増やしていった。
この「短期より長期が安い」ことを逆イールドカーブ状態と呼ぶが、そういうおたく知識はいまはスルーしていく。
グラフにしてみた。
全体としてはだんだん下がっている。ときどき上がっているところがある。すでに述べた通り、全体的な下落と一時的な上昇は「国が決めている」年利である。
いまは利息たくさん払ってもいいな
ちょっと利息を払うの減らそうかな
という調整をしているのである。
また、1年償還のものと20年償還のものは、直近30年だと「元本が長い間もどってこない国債のほうが金利が高い」が、過去にはそうなっていない国債もあった。どの期間で元本を返す国債を発行するかも国が決めている。元本は、国債購入者にとっては人質のようなものだ。
20年後のことは後から考えよ!
とりあえずいますぐ金くれ!
という調整をしているのである。
国が何を考えているのか、リアルタイムでは分からない。でも10年単位で何が起こっているかは整理しておくべきである。
金利はとりあえずこの辺でおわり。
次は消費者物価指数だ。
消費者物価指数 2020年基準消費者物価指数 長期時系列データ 品目別価格指数 全国 月次 | ファイル | 統計データを探す | 政府統計の総合窓口
さらに為替である
https://ecodb.net/exchange/usd_jpy.html
消費者物価指数をグラフにした。(2020年7月を100として指数化)
まず、グラフ左半分で、物価が上がっていることに注目しよう。
なぜ物価が上がっていくかは諸説あるが、ここでは間違いなく日本の経済成長である。成長は、単に人口増加によって起きる。また敗戦直後にゼロ状態だった経済が、朝鮮戦争特需で加速度的に伸びた。人間が増え、お金のやり取りが活発になった。1ドル360円だったものが、すぐに200円になり150円になった。いくらでも海外のモノを輸入できるようになった。そして国内で「欲しい!」が発生し、作っても作っても欲望は膨らんだ。だから「物価が継続して上がり続けた」のである。
これは借金する側にとって有利である。
PS5を買うために8万円借金し、物価が上がって1年後にPS5が20万円になっていたらどうか。
8万円に利息をつけて返済するより、未開封新品のPS5を売って20万円にするだろう。開封するのも自由だが。むしろ16万円借金して2台買えばよくね?
もちろん「1年働いてPS5を買う」のもよい。だが「8万円貯める」は「20万円貯める」に変更しなければならない。やはり「8万円借金してPS5を買い、1年後に8万円返済する」ほうがよいだろう。
これは経営者ならもっと大規模に「会社で10億円利益を出す」よりも「1億円借金して会社を大きくし、11億円利益を出して1億円返済する」ほうが得だ。翌年は会社が大きいまななのだから。むしろ100億円借金したほうがよくね?
借金してでもお金儲けできそうなものに投じて利益を得る、という思想は金融バブルに繋がりバブル崩壊に至った。土地を買って半年後に売るとお金が2倍になる、という宗教だった。
ただし消費者物価指数は国内だけの話だ。日本だけ物価が急上昇した時期と、地球全体の物価がゆっくり上がっている間に日本だけ物価が変わらなかった時期の、それぞれがどのような経済状況になるかは検討する必要がある。
グラフ右半分の消費者物価指数がほとんど変わらなかった時期は、地球全体ではマイルドに物価が上昇していった。日本は「安い国」になり、日本人にとってそこそこ高級な宿泊施設は、海外の人にとって「激安」となり旅行者が大量に流入した。大量のホテルと観光施設に投じたマネーは、その後の新型コロナウィルスのまん延で崩壊していくわけだが。
物価はこの辺でおわり。
次は為替だ。
IMFのデータをまとめてグラフにしている人がいた。便利である。
敗戦して1ドル360円だったが、2010年代に1ドル80円まで円高は進んだ。そこから円安になり、今日は「29年ぶりの1ドル126円!」とかニュースでやっている。
日本国債は物価上昇を利用した半分踏み倒しのようなことをした後、バブル崩壊後に超低金利の時代に入る。これは借金の金利が高いと企業が活動しにくい反面、金持ちは金利をベースにしたお金儲けをしているので金利をゼロにできない矛盾を反映したものだ。
お金持ちは金貸しという直接的行為から、株と為替の運用に切り替えたのだ。
かつて、お金持ちは何をしていたか。
1900年から1980年ぐらいまでの話だ。先進諸国で人口が増えてお金のやり取りが活発になり、企業は拡大すればするほど儲かると信じられていた。この裏には金貸しをする金持ちがいた。いろんな国が順繰りで成長して、また別の国が成長していた。
金利が高いとうことは金貸しをする銀行が儲かる。経済活動が活発なら、銀行にお金を借りて商売を拡大する人たちが増える。しかし物流が高度・高速になる「グローバル」を迎え、商売を拡大しても相応の利益にならなくなってきた。単に「お金をかければもうかる」訳ではなくなってきたのだ。地球上に「とにかく新しいモノを買うから売ってくれ!」という地域がなくなってしまったのだ。
企業は拡大路線をやめる。借金を返済し、コストを減らす。賃金を下げ、機械を使う。
そしてWindowsとIT革命が来る。グローバル・低コスト・高速通信の時代は、互いの企業が安く利用しあう。いろんな企業全体で業界のコストを下げて利益を拡大し、「株主が利益を得る」ようになる。従業員は労働組合を作ったが、組合の幹部を経営者が引き抜いて無能組織となって瓦解した。高い報酬の別会社へ転職できない者がデモ行進しても企業利益は増えない。
金持ちは「株主」となって企業の成長部分だけを得る。起業と陳腐化のリスクは取らない。資本主義社会の成長部分だけを得る仕組みだ。この利益は「配当金」だ。
日本の配当金は20%課税だ。1億円もらうと2000万円が税金で取られる。しかし労働で得た所得は、1億円もらうと5000万円の税金になる。おかしな話だ。だが、このルールは変わる気配がない。
このストーリーをよく理解すれば、日本国債の利息が低くなることは明白である。そして日銀は「株を買う(投資信託受益権を買う)」を始めるのである。
そして現在がある。だがちょっと待ってほしい。
国債はオワコンだから株やればいい
ではない
いま先進諸国の国債は低金利だ。だが、低金利と言っても数%の利息はある。地球全体のインフレに、なんとか追従するぐらいのパワーは未だにある。ないのは日本ぐらいのものだ。
株は絶対に「ほぼクズになる時」がやってくる。例外はない。なにもかもがゼロになるわけではないが、全力で株だけやり続けるのは無謀で危険な行為だ。
債権が優勢になる時期はかならずくる。というか、もうすでにその状態に入っている可能性が高いと感じている。