未来がわからない恐怖が生まれてしまう
要約 ベテランも未来は分からない・確率の実際・ポジションサイズを研究せよ
未来がわからない恐怖が生まれてしまう
素人は苦渋の損切りを経験してから勉強を始めます。テクニカルの聖杯を探して迷走し、企業分析と株価の割安割高を研究します。研究で恐怖を消しても(いずれは)再び苦渋の損切りとなってしまいます。もう怖くて買えない。でもお金は欲しい、儲けたい。でもやっぱり怖い。そんなときどうすればいいのか?
未来予測ができないようだと分かり始めると
素人はテクニカルも企業分析も未来を当てられないと理解します。でも勝ちトレーダーは確かに存在します。だから勝ちトレーダーには未来を予測する秘密の分析方があると思い込みます。ないのに。
移動平均線の日数なのか?決算短信の読み方か?経済指標の先読みか?もっと具体的に「明日上がる株の情報」を知っているのではないか?「素人に秘密にしている情報」があるに違いない!!!!!
完全に素人の妄想ですが「そうでないとおかしい」と信じているので打ち消すことができません。
勝っているトレーダーは未来が分かる!
ベテラントレーダーも明日のことが分からないままトレードをしています。でもちゃんと儲かっています。儲かる方法があるのです。未来が分からなければ儲かるはずがない!絶対に秘密があるのだ!という気持ちになるのは素人だからです。儲かる仕組みがあって儲けていると理解すれば素人を卒業です。理解しても実践するのはまだ先ですが。
買うと下がる?売ると上がる?
未来を恐れていると遭遇する現象です。でも原因は単純です。要するに遅いのです。遅れる原因は2つあります。
- 心の準備をしていないので遅れたのにあわてて飛びつく
- 決断する自信がないので躊躇して遅れる
心の準備をしていない
ブレイクアウトを例にしましょう。レジスタンスラインが1000円にある場合は1001円で買うのが定番です。でも、いつ1001円になるかは誰にもわかりません。今すぐかもしれないし明日かもしれない。来週まで待たされるかもしれないし、そもそもブレイクしないかもしれない。それらすべてを想定した上でやるべきことは「毎日毎日、ブレイクの準備をしておく」ことだけです。素人は気分が乗った時だけチャートを見ます。そして「あっ、ブレイクしてる!買わなきゃ!急げ!」となるので出遅れとなり、「買うと下がる」のです。遅れているのに躊躇なく飛びつくのが素人です。
監視を止めてしまうチャートパターン
遅れて飛びついてしまうチャートパターン(2週間後)
決断する自信がない
ブレイクアウトを例にしましょう。レジスタンスラインが1000円にあったとします。運よくチャートを見ていたので、いままさに990円991円992円……と値上がりしていく様子を見ることができています。そしてついに1000円1001円と株価が上がってきました。まさに買うべき時が来ました。決断すべき時です。
素人は決断するために理屈が必要です。過去の苦い経験が恐怖となって躊躇なく行動を起こせないのです。自分に自信がないので何か後押しが欲しいのです。
「レジスタンスとして機能するのでは?他の指標も見るべきでは?」
「移動平均線は見たか?一目均衡表は?RSIは?確認したか?」
「持合いを解消するパターンはあったか?日柄は?トレンドラインは?」
「ブレイクしたとしてターゲットプライスは決めてあるか?」
「前期損益と来期予想は確認したか?」
「決算が近いから乱高下に巻き込まれるのではないか?」
「大量保有報告は確認したか?」
などなど。いろいろ確認して「よし!間違いない!」と思ったときに買うから「買うと下がる」のです。
未来は予測できるはずなのにできない?
そもそも未来は予測できないのです。にもかかわらず「できるはずのものができない」と思い込んでいるので、必要のない努力に時間と労力を割いてしまうのです。心の底から未来がわからないものだと納得していないのです。では、納得しようではありませんか。
まず、納得しよう
このトレーニングは精神に絶大な影響を与えます。実際にやる場合には別の人間に生まれ変わる危険があることを覚悟してから臨んでください。3時間以上かかりますが、一度はやっておくといいと思います。
コインを2枚用意します。4000回コインを振って、両方表なら黒・それ以外は白、と升目を塗りつぶしていきます。40回や400回ではダメです。
コインを振りながら、「次は白となるか黒となるか」を予想してください。そして予想が当たったか外れたかを記録してください。
もちろん出現確率「黒は25%・白は75%」を使って予想してかまいません。現在までの累計の白の数・黒の数を参考にしてもよいし、直前までの履歴(白白白黒とか)を使っても構いません。
このトレーニングは「過去を分析しても次の1回をどうやっても当てられない」ことを納得するために行います。
副産物として、善意も悪意も持たない2枚のコインから精神的な影響を受けることを体感できます。「始めの内は何も感じない」「予想が当たると嬉しい」「過去を分析して予想の精度を上げようとする」「分析して予想を外すとショックを受ける」「外れ続けるとコインに自分を否定されたと感じる」「当たり始めると万能感を得る」「再び外れだして万能感を失うと予想に自信がなくなる」「何を根拠に予想して良いか分からなくなる」「もうどうでもいいやと思うと再び当たり始めている気がしてくる」「やはり過去の分析をしてしまうが当たらない」「何を根拠にすればいいか分からなくなる」「何も考えずにコインを振り始める」などなど。コインは感情を生みません。感情の発生源は自分自身です。
確率が分かっていても明日のことは分からない
確率25%で起きると分かっていても、予想は当たらないのです。確率の分からない株価の上げ下げをあてるのはもっと難しい事なのです。だから未来が分からないことは「すべての参加者に平等な条件」なのです。にもかかわらずトレードには上手や下手があるわけです。ということは上手な人は未来予測ではない何かが上手なのです。
未来を予測しないなら、なにが上手なの?
売買が完結するまでにやることは、素人もベテラントレーダーも同じです。
- 銘柄を監視しはじめる
- 銘柄を買おうと考えてタイミングを計り始める
- 価格と株数を決めて株を買う
- 株を売るべきかタイミングを計る
- 株を売る(損切り・利食い)
- 銘柄を再び買おうと考えてタイミングを計り始める
- 銘柄の監視を止める
さて、上手な人はどこで差を付けているのでしょうか?
上手な人は何がうまいの?
素人は銘柄選びが大好きです。銘柄選びマニアです。でも儲かりません。ということは銘柄選びを頑張っても無駄だということです。銘柄なんてどうでもいいのです。次にタイミングです。押し目で買うのかブレイクアウトで買うのか?これもあまり重要ではありません。「買うべき銘柄」をいつ買おうが、要するに儲かるのですから。
上手い人が上手い所以は、株数の調節です。銘柄選びもタイミングもうまいですが、一番うまいのは株数の調節です。買う株数のことをポジションサイズといいます。ググればいろいろ出てきますのでおススメです。
上手なポジションサイズとは何なのか?疑問に思うだけでも素人からずいぶん離れた場所に立つことができます。
日々勉強。
記事まとめ