お金ってなんだっけ
お金のために人類は滅亡すると思うけど、まだもうちょっとだけ滅亡しない気がする。
お金は何かを示す数字だ。何を示しているのか?
お金はただの紙だ。日本銀行が作っている紙だ。価値がある、と日本銀行が言う。嘘かもしれない。アメリカは「嘘じゃないよ」と言ってくれる。
日本のお金はアメリカのお金と交換出来る。むしろアメリカのお金と交換出来ないものはお金として認めてもらえない。だからアメリカのお金を基軸通貨と呼ぶ。ドルだ。ドルは本当に価値があるのだろうか。
かつてドルとゴールドが交換出来た時期があった。だが止めざるを得なかった。
ゴールドを地中から掘り出すスピードとドル紙幣を印刷するスピードがずれてしまったからだ。ブレトン・ウッズ体制とかニクソンショックとかプラザ合意とかIMFがどうのとかそういうのだ。現在のドルは「みんなで価値を認め合う」仕組みになっている。
ゴールドは価値があった。ゴールドの価値とは何か?
ゴールドの輝きは永遠の象徴だ。不老不死だ!太陽だ!でも食べられない。ゴミだ。ゴールドは伝導率が高い。錆びない。加工しやすいし柔らかい。これは便利だ。いろいろ使えそうだ。
どこかでゴールドの価値は変わってしまった。工場の材料の一つになってしまった。ゴールドには神秘の力がなくなってしまった。神から人間の力になってしまった。だからたくさん紙幣を印刷した。
ゴールドの前は何だったのか。何が価値を持っていたのか。神秘の力とは何か。
王は農耕によって発生した。ゴールドの前は麦と豆だ。農耕の前は狩猟だ。麦の前は肉だ。狩猟の前は採集だ。ほとんど猿だ。猿にとってのゴールドとは何か。何に価値があり、何を交換していたのか。
群れを作る動物にはオスのボスがいる。ボスは挑戦者と力を比べて勝ち続けなければならない。群れは腕力でありボスも腕力である。群れることで種が存続する。群れを作らない動物は隠れて気づかれない力がある。種は戦略を提供するが、個が生きるのは力の有無である。多様な種が存在出来る状況では個の生きる力が重要になる。
種の中で個が優劣を競っていた。他の個より優れるためのコストを払って優劣を競っていても絶滅しない種が生き残った。種として優れているからだ。種の中で優れていることが価値だった。
種と種が戦っていた時期はどうだったのか。海の勝者クラゲは何を持っているか。
クラゲはクラゲ自身がクラゲ製造工場だ。個は戦わない。みんなで子孫を増やす。他の種は敵だ。食糧も場所も独占する。種が繁栄することが価値だ。
生命が生まれた時には種がなかった。有機物が入って出るだけだった。入ってくる有機物が足りないシステムは稼働出来なくて消えただろう。システムが競合を起こした時に初めて種が生まれたのだ。処理する効率と消えない次善策が価値だ。
さて、お金とは紙でありドルでありゴールドであり神秘の力であり麦であり肉でありボス猿であり子孫の数であり生命の誕生であった。お金は生きたいと思う何かが作ったのだ。お金を得るために生きるのではなく、生きるためにお金が必要なのだ。
お金には実体がない。お金にあるとされる価値は存在せず、豊かに生きたいと願う心が幻想を作っているだけだ。しかも各国の中央銀行がお金を作る権利を独占している。あらゆる国が幻想であることを認めない。価値は確かにある、と言い張る。
対策はある。
お金を作ることは出来ないが「お金の素」は作ることが出来る。
お金が増えると幸せで嬉しい、お金が減ると悲しいし怒る、のではない。幸せで嬉しいとお金を払いたくなり、悲しくて怒るとお金を奪いたくなるのだ。
誰かを嬉しくさせたり怒らせたりする方法は能力として身につけることが出来る。あらゆるビジネスは感情の励起に根付いている。
東京証券取引所で行われていることが、まさにそれだ。
個人投資家は(新聞を読んだりして)嬉しくなるとお金を払って株を買う。(含み損が増えて)恐怖を感じると株を売って(ずいぶん減った)お金を奪い返す。損をすると怒って誰かからお金を奪おうとする。お金を奪うには獲物が隙を見せている必要があり、ニヤリと笑って嬉しく感じた時に個人投資家が何をするかと言えば…
お金が存在することで不幸になってる人が多すぎませんか。