RSIの都市伝説をブッ飛ばせ!!!
RSIを数式で理解したい人はこちら。簡単ですね!
Relative strength index - Wikipedia, the free encyclopedia
簡単だった人はさようなら。難しかった人はこんにちは。
RSIには都市伝説があります。
RSIが30から反発したら買え!
RSIが70から下落したら売れ!
レンジ相場で使え!
上昇トレンドでは売りサインを無視しろ!
下降トレンドでは買いサインを無視しろ!
ゼロリバーサルで仕掛けろ!
過去のチャートを見ると「なるほど」というポイントはいっぱい見つかるのですが、実際にトレードを行うとダマシに次ぐダマシで損切り連発トレードになってしまいます。これはなぜ起こるのかを解明します。さらにどうやってRSIを使いこなせばいいのかを探求します。
まずRSIの計算過程を絵で紙芝居にしてみます。
上段が日経平均株価の日足チャートです。下段はRSI(パラメータ14)です。日足チャートからRSIに変わっていく様子を見ていきましょう。
左端から14日間は、過去14日間のローソク足がないのでRSIがおかしなことになってますので注意してください。
RSIは「終値ベースのオシレータ系」のテクニカル指標です。始値とか高値安値は見ていません。高値と安値を消して、始値を前日の終値に書き換えたローソク足にしてみます。
終値ベースで見ると「上がったり下がったり」を毎日繰り返す方が珍しいことが分かります。上がった翌日は上がりやすいし、下がった翌日は下がりやすいのです。最高値の上ヒゲや最安値の下ヒゲが消えてしまうのが、ちょっと衝撃的な変化です。
RSIでは「値上がりした日」と「値下がりした日」を区別します。ローソクが白いか黒いかを区別して考えます。白と黒でローソクを分けます。
日経平均株価の日足チャート終値ベース値上がり幅と値下がり幅の分類。ローソクの長さが上の図と同じになるように調節しました。
RSIのパラメータは14に設定しました。これは過去14日間のローソク足を使って当日のRSIを求めることになります。
すべての日で、過去14日間に出てきた白いローソクをすべて連結します。黒いローソクも過去14日間のものをすべて連結します。移動平均の計算方法と同じです。ロケット鉛筆です。
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過去14日間の白いローソク連結。
過去14日間の黒いローソク連結。
連結したものを合体。
長さがバラバラなので全部同じ長さにします。白と黒の比率は変えません。
ちょっと上下の幅を縮めて……RSI指標の完成です。
RSIが「何を見るための指標なのか?」を知ることができたでしょうか。
RSIが30
ということは
過去14日間の
終値ベースのローソクを全部つなぐと
白と黒の割合が30と70になる
を意味しています。
売られ過ぎの時に20で反発するか30で反発するかは誰にも分かりません。白と黒の割合を計算するために、過去何日分まで考慮すればいいのかも誰にもわかりません。
RSIを使って利益を得るためには、2つの前提が必要です。
- 長期的なトレンドは変わらない
- 前回の押しと現在進行中の押しがよく似たパターンとなる
一般的な想定シナリオの例です。
「6か月程度の上昇トレンドが続いており、上昇期間は長かったり短かったりするが、押しの形成は毎回14日程度だ」
「3か月程度のレンジ相場が続いており、上昇も下降も14日間程度で繰り返している」
この状況が「今後も続いたとする」ならば、RSI30で買え・80で売れ、が成立します。
RSIを使って利益を出すためには、「押しを形成する日数・値幅が同じパターンとなる」ことが必須条件です。だからRSIを使おうとする前に、トレンドの分析と押しの日数・値幅が分かっていなければそもそも使えません。
サンプルに使った日経平均株価は3か月ほどレンジ相場が続いています。押しと戻りの日数が分析済みで、今後も同じパターンで押しと戻りを形成するのであれば、RSIを使って利益が出せるかもしれません。
押しと戻りの日数は、「終値ベースの日足チャート」を使って数えられます。実際に数えてみましょう。
日経平均株価の終値ベース日足チャート。押しと戻りの日数カウント。
どうやら4日から6日で押しと戻りが形成されています。ではRSIのパラメータを5にして計算してみましょう。
日経平均株価の日足チャート。RSI(パラメータ5)のチャート。
「押しと戻りが4日から6日のパターンを繰り返す」のであれば、まだ買う時期ではないようです。
RSIは未来を予測する道具ではありません。「RSIが30より大きいから、あと2日は必ず下落するはずだ」と妄想するための道具ではありません。前提となるシナリオがあり、「同じパターンを繰り返すならもう少し売られるぞ」と結論を出すための道具です。いちいちローソク足を終値ベースローソク足に書き換えて上昇と下落をカウントして現在の位置を考慮する作業をしなくても「RSIをパッと見れば分かる」ための道具です。
まずRSIで大まかな状況を把握してから、細かい分析をしていくのがよいと考えます。道具に命令されるのではなく、道具を使いこなした方が楽しいトレードができます。
日々勉強。