損切りできない・損切りしたくない
要約 損切りできない理由がある・損切りの言葉の意味・戦略と戦術に損切りを取り入れる・損切りと利食いは同じ
損切りできない・損切りしたくない
トレードを始めたころは損切りが辛かったです。なのに「もっと早く損切りしていれば」と毎回(そう、なぜか毎回)思いました。心理的抵抗が強いほど「損切りすべき時」です。にもかかわらずできない、ツライ。なぜなのか?どうすればいいのか?
とりあえずWikipedia。
損切りの心理的抵抗を考える前に
抵抗は「何かと何かがぶつかり合っている」状態です。ひとつめは株を買う前からあります。理屈で包んだ欲望です。人は欲望で行動する一方で常に理性的であろうとします。「前期業績はいまいちだが月次売上が好調なので来期予想は素晴らしいものになるのではないか」とか「25日移動平均線が上向きで5日移動平均線が下向きから水平になりつつあるのは上昇の兆し」とか「有名アナリストや著名トレーダーが推していた」などなど。
実は「誰もが知っている」ことばかりです。にもかかわらず「よし、これは買いだ!」と判断します。理由を無理やりでっち上げているのですが、自分自身はその愚かさに気づきません。欲望を理屈で包むのです。
株を買い、株価が下がってくると
買った株の価格が下がり始めると、理屈が屁理屈だったと気が付き始めます。でも「間違いと認める」理由もやはりないのです。となると損切りすべきかどうかの基準は何もなくなります。ただ目の前に「お金が減り続けている現実」だけが残ります。理屈で包まれていた欲望がむき出しになって、お金が減る恐怖とぶつかります。欲望と恐怖が同時に存在するとどのような行動になるのでしょうか?
株価の下落は死の宣告
株価が下がり始めたら死の宣告と考えるべきでしょう。
死の受容のプロセス
キューブラー=ロスは200人の死にゆく患者との対話の中で以下の5つの死の受容のプロセスがあることを発見した。ただし、すべての患者が同様の経過をたどるわけではないとしている。
第1段階 「否認」
患者は大きな衝撃を受け、自分が死ぬということはないはずだと否認する段階。「仮にそうだとしても、特効薬が発明されて自分は助かるのではないか」といった部分的否認の形をとる場合もある。
第2段階 「怒り」
なぜ自分がこんな目に遭うのか、死ななければならないのかという怒りを周囲に向ける段階。
第3段階 「取引」
延命への取引である。「悪いところはすべて改めるので何とか命だけは助けてほしい」あるいは「もう数ヶ月生かしてくれればどんなことでもする」などと死なずにすむように取引を試みる。神(絶対的なもの)にすがろうとする状態。
第4段階 「抑うつ」
取引が無駄と認識し、運命に対し無力さを感じ、失望し、ひどい抑うつに襲われなにもできなくなる段階。すべてに絶望を感じ、間歇的に「部分的悲嘆」のプロセスへと移行する。
第5段階 「受容」
部分的悲嘆のプロセスと並行し、死を受容する最終段階へ入っていく。最終的に自分が死に行くことを受け入れるが、同時に一縷の希望も捨てきれない場合もある。受容段階の後半には、突然すべてを悟った解脱の境地が現れる。希望ともきっぱりと別れを告げ、安らかに死を受け入れる。
まさに損切りできずに塩漬け株となる過程ではないでしょうか。そんなはずはない、馬鹿にしている、なんとか持ち直してくれないか、もうだめだ、忘れよう。そういう気分になっているとしたら、死の宣告を受けているのかもしれません。
欲望と恐怖の喧嘩こそが心理的抵抗の原因です。「損切りすればよかった」と後悔するのは、本質的に死を予感しているからです。理性は迷っていても本能は何かを感じ取っているのです。本当は分かってたんです。何もかも。
そもそも損切りの意味は
損切りを「損する+切る」と考えると非常にイメージが悪いですが、「損失+見切る」と考えるとずいぶんよいイメージになってきます。損失が増えるのをストップするために行うのです。いくら損するかを自分で決めるのです。なんだか勝てるギャンブラーっぽくないですか?
損切りを戦術に組み入れよう
シンプルな損切り戦術は、「株を買って、上がったら持ち続ける・下がったら損切りする」というものです。もし損切りにならなければ少し買い増しします。損切りとなった場合は新たに買います。同じ銘柄でも別の銘柄でもよいです。相場に上昇トレンドが発生していれば大金を得られます。横ばい相場の場合は資金がじわじわと減り続けます。
単に買うのではなく「上がったら買う」「下がったら買う」などの条件を付けていくと自分だけのルールになります。そうはいうものの「上がった」をどのように定義するかが新たな問題となってくるわけですが。
損切りと利食いは同じ
シンプルな戦術をもう少し掘り下げてみます。「5日連続上昇」して「6日目に損切り」となった場合を考えてみると、おそらくほとんどの人が「利食い」と呼ぶ売買になっているはずです。実は損切りと利食いは同じものなのです。お金と株の交換を繰り返す操作をしていると考えれば、損切りと利食いは同じことです。ということは「損切りができない人」は「利食いができない人」とも言えます。利食いして初めて資産が増えていくわけですから、損切りができないことはとても不利な戦いを選んでいることになります。
損切りができるようになるには
いつもの半分の株数で売買しましょう。できればさらに半分か最少単元で売買しましょう。そして最低でも200回のトレードをしましょう。損益に比べて手数料がとても多くかかりますが必要経費です。でも素人のままであればどうせ全部なくなるのです。手数料で資産が半分になるまえに半人前になれば取り返せます。
もちろん200回のトレードをすべて記録します。手数料を払って得た貴重な機会です。買う少し前から損切り・利食いの少し後までのチャートを印刷します。上昇下降の過程でどんな気分になったかを記録します。損切りしたい・利食いしたい・上がりそう・下がりそう・びっくりした・思ったとおりだった・腹が立った・嬉しかった・ツラかった・ラクになった、などなどをメモしておいて印刷したチャートに後で書き加えます。
すべてのトレードを見直して「損切りしなければ儲かった場合」「損切りしたことで損失を抑えた場合」「どちらでもない場合」を数えてください。間違いなく「心理的抵抗を感じた時」の損切りが損失を抑えているはずです。ツライ時に損切りすればするほど資産の減少を防げると納得してしまうと、率先して損切りするようになります。
そしてやたらに損切りを繰り返す損切り貧乏になってしまうわけですが……。それはまた別のお話し。即死が致命傷まで改善されれば十分です。
日々勉強。
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