短い時間軸で分析して長い時間軸で売買する
要約 投資に1分足は不要・投機なら1分足は重要・投資か投機か
短い時間軸で分析して長い時間軸で売買する
素人の売買は結果的にそうなるのですが、プロセスを紐解けば仕組みが見えてきます。また、悪い事ばかりでもありません。メリットもあるのです。要は使い方です。
長期投資の本を読んで1分足で仕掛ける
信じられないことですが、実際に起きています。私もそうだったし、多くの人が日中の値動きに注目しています。値動きこそが株価の中枢であると思い込んでいます。素人は重要なことを見落としているのです。
1分足にも日足にも企業価値の反映はない
1分ごとのひとつひとつのローソク足に意味はありません。ただその時に買いたい人と売りたい人が相談して株価が動いているだけです。企業価値が10秒ごとに変化しているわけではありません。
そして、1日ごとのローソク足には「板寄せ」が行われます。
板寄せは「日々の期待の変化」を反映していると考えられます。買いたい人と売りたい人の都合で株価が変化します。夕方から翌朝までに流れたニュースでいろいろな思惑が交錯して「やっぱり買いだ!」「いやいや売りだ!」と判断が変わるのです。日跨ぎの期待の変化が板寄せで株価に反映され、日中の値動きの最初の波紋となって株価が動いていきます。企業価値は何も変わっていないのに。
決算短信や決算を跨いだ日の板寄せは企業価値の反映と考えることもできますが、それ以外の株価の動きは「企業価値に投資する」のであれば関係ないのです。注目している企業が「投資すべきでない状態」から「投資すべき状態」に変わったら株を買い、「投資すべきでない状態」になったら売るのです。
長期投資に臨むのに1分足を見て一喜一憂しているのはおかしなことです。にもかかわらず素人は1分足や5分足を見てしまいます。なぜなのでしょうか?
株価が下がったら損するし、上がれば儲かるでしょ?
素人は欲望に突き動かされて投資を始めているので「終わり方」を理解していないのです。倒産しない想定で配当を貰い続けるために株を買うのか、企業の成長に賭けて成長が鈍化したり赤字となったりする時点で売却したいのか、あるいは上昇相場に乗って売買したいのか、そういうゴールを決めずに株に手を出しています。
買ってみたものの自分でもどうしたらいいのか分からないのです。どうなったら買ってどうなったら売ればいいのか決められないのです。そして株価と含み損益だけを見るのです。見ているのが株価だけですから、決断する理由も株価だけになります。
決断するには現状分析だ!緻密な分析をするべきだ!
投資であれば月足や週足で「企業価値に株価が収れんしていく」かどうかを見るべきです。しかし素人は自分の損益しか見ていないので「明日はどうなる?むしろ1時間後は?1分後の株価が知りたい!」と思っています。愚かなことです。
週足よりも日足を、日足よりも5分足や1分足を、できればティックチャートまで分析したくなります。真っ暗な中を進んでいるので足元を照らしたくて仕方がないのです。
ついついスマホで株価をみてしまう
ところが素人なので分析方法が分かりません。とりあえず仕事中にスマホで株価をチェック、通勤中に日足チャートをチェック。上がればやったー、下がればがっくり、そんな意味のない動揺を日々繰り返して消耗していきます。
そしてだんだんと「辛い日々を早く終わらせたい」と感じるようになっていきます。株を保持することに苦痛を感じるようになるのです。最初は欲望100%ですが、だんだん苦痛が勢力を増していきます。含み益があれば苦痛が和らぐのですが効果は限定的です。長期間の(実際には3日や10日です)保持が苦痛に感じられてたまらないのです。
このタイミングで売りだ!間違いない!
自分に言い訳して保持を中止したいだけなのですが、チャート分析による理屈が後押しとなって手仕舞いを決断します。苦しみから解放され、現金が手元に戻ってきます。再び欲望100%充填となって株を買うのは翌朝か翌週です。
投機(トレード)なら1分足の分析は必要
投機であれば1分足を分析することはとても大事です。日中の値幅や出来高から特定のパターンを抽出して値動きの法則を見つけることが投機の基礎的な考え方です。5分足でも日足でも仕組みは同じです。50%&50%でない場所を見つけることが大事です。
ところが素人が投機に手を出すと、分析結果を信じることができません。確率と期待値を理解していないので「勝率75%なのに4連敗したからおかしい」などと意味不明なことを言い出すのです。そこで「もっと確実に当てたい」と感じてテレビ・ラジオ・雑誌・株ブログ・twitter、などなどの情報を入手しようとします。素人はトレーダーの中で分析が不得意なグループに属しているのに情報だけはたっぷりと手に入れます。そしてめちゃくちゃな分析をして売買に臨んでいます。
デイトレーダーの中にも派閥があり、「週足と日足のトレンドに沿って日中の売買を組み立てる」という人もいれば「日中の動きがすべてなので日足や週足はみない」という人もいます。矛盾するようですが「要するにトータルで儲かればいい」のです。高品質な情報を得ることは手段であって、目的はお金を増やすことです。
何を分析すれば何が得られるのかを考えよう
企業価値を分析しても、恐慌となればすべて吹っ飛んでしまいます。しかし恐慌から素早く立ち直ってくる株を知っていることは大きな武器になるはずです。
チャートを分析できるようになっても、企業価値の変化や外部要因で株価が一気に動くこともあります。しかし相場の動き方はアルゴリズム売買となっても米相場と同じ特徴は確実にあります。上がったり下がったりするのです。
企業価値を分析して投機に臨んだり、チャート分析を基に投資するのは、やり方に無理があるのです。自分が何をしているのか分からないままでは、一時的に儲かることがあってもいずれ破産してしまうのは仕方の無い事です。
自分が何をやっているのか知ることが最初の一歩です。
記事まとめ